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ICT導入は「使われているか」が問われる ― 疑義解釈その2から読み解く看護配置基準

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  • 2 日前
  • 読了時間: 5分

2026年3月31日、2026年診療報酬改定に関する疑義解釈その2が公表されました。





今回の内容は、単なる制度解釈の補足にとどまらず、ICTを活用した看護業務効率化の「実運用要件」をかなり具体的に示したものとなっています。



これまでの連載記事で、ICTを用いた看護業務の効率化に関する制度のポイントを整理してきましたが、今回の疑義解釈はその内容をさらに踏み込んで明確化したものと言えるでしょう。特に重要なのは、ICTを導入しているかどうかではなく、現場で実際に使われているかどうかが問われるようになった点です。



今回は、疑義解釈その2のポイントを整理しつつ、現場運用にどのような影響があるのかを考えます。





AI利用に関する前提条件が明確化された

まず、AIを用いたシステムに関して重要な前提が示されています。



看護職員および看護補助者の業務効率化においてAI技術を用いる場合も、医師事務作業補助体制加算と同様に、経済産業省および総務省が公表する「AI事業者ガイドライン」に基づき、適切なリスク対策を講じた事業者が提供するものであることが求められる、とされています。



これは、AIを使えばよい、という話ではなく、安全性やリスク対策が担保された前提で導入する必要があることを意味しています。



言い換えれば、AIは判断を代替するものではなく、あくまで現場の判断を支える材料として扱うべきである、という方向性が制度上も明確になってきたと言えます。





「導入」ではなく「使用実態」が要件になった

今回の疑義解釈で最も重要なのは、ICT機器の「導入」ではなく「使用実態」に関する要件が具体化された点です。



もともと今回の診療報酬改定では、業務効率化の「説明可能性」を担保する観点から、ICT機器の使用実態が要件化される方向性が示されていましたが、今回の疑義解釈でその内容が具体的に示されました。



施設基準におけるICT機器等の要件について、次のように整理されています。



  • 見守りに関するICT機器 → 病棟入院患者の概ね2割以上が利用していること

  • 看護記録等の効率化に資するICT機器 → 概ね全ての看護職員が週に1回程度使用していること

  • 医療従事者間の情報共有に資するICT機器 → 当日勤務する概ね全ての看護職員が使用していること



ここで問われているのは、



「あるかどうか」ではなく「使われているかどうか」



です。



ICT機器等の導入に関しては、業務がどう変わったかを年1回程度、定量的もしくは定性的に評価することが求められていましたが、実際には使われていなくても、評価の枠組みだけ整っていれば要件を満たしてしまう余地がありました。



しかし今回の疑義解釈で、具体的な使用実態の要件が示されたことで、単なる導入ではなく、現場での実際の使用が要求されることになりました。





「導入すればよい」という発想は成立しない

これまでICT導入は、



  • とりあえず導入する

  • 一部のスタッフが使う

  • 運用は現場に任せる



といった形でも、一定程度は成立してきました。



しかし今回の要件は明確です。



使われていなければ、導入していないのと同じです。

制度上も、現場上も、存在していないのと同じ扱いになると言ってよいでしょう。

いくら評価が充実していても、現場で使われていなければ、要件を満たすことはできません。



これは制度としての大きな転換点です。





現場に求められるのは「日常業務としての定着」

この要件が意味するのは、ICTの位置づけの変化です。



  • 特定の担当者だけが使うものではない

  • 一部の患者だけに限定して使うものでもない

  • 業務の一部として自然に使われている必要がある



つまり、ICTは「特別なツール」ではなく、日常業務そのものとして組み込まれていることが求められています。





問われているのは機器ではなく「設計」

ここで問題になるのは、機器の性能ではありません。問われているのは機器ではなく「設計」です。



より正確に言えば、現場の判断と行動の中で自然に使われる設計かどうかが問われています。



使われない理由は以下のいずれかでしょう。



  • 判断に役立たない

  • 手間が増える

  • 業務フローに合っていない



どれだけ機能が充実していても、現場の判断や行動と結びつかなければ、使用率要件を満たすことはできません。





制度はすでに「判断支援」を前提にしている

これまでの連載記事では、①アラームを制御可能な対象として整理すること、②情報を判断支援として設計すること、③判断を「点」ではなく「線」として捉えること、といった視点を提示してきました。



今回の疑義解釈は、それらの考え方を制度側が



「現場で実際に使われていること」



という形で要件化したものとも捉えられます。



単なる機器導入ではなく、判断と行動に結びつく形で運用されているかどうかが評価される段階に入ったわけです。





ICTは「使われて初めて成立する」

今回の疑義解釈で明らかになったのは、ICT導入の評価軸が「導入したか」から「使われているか」へ移行したという点です。



そして、その前提となるのは、現場の判断や業務の流れと結びついた設計です。



制度はすでに、「説明可能な見守り」と同じ方向を見ています。現場で何が起きているのか。それをどう支えるのか。その設計が、これまで以上に問われています。



「説明可能な見守り」をどう設計するのかについては、過去記事で解説していますので、ぜひあわせてお読みください。



特集:2026年診療報酬改定で要求される「説明可能な見守り」を考える(全4回)





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