重症心身障害児(者)を守る会の定期総会に参加して考えさせられたこと
- MICHIHIKO MIKAMI
- 5月2日
- 読了時間: 6分

みなさん、こんにちは。MEGTAR開発担当の三上です。
先日、福岡県重症心身障害児(者)を守る会の定期総会に参加させていただく貴重な機会をいただきました。
会場に集われた多くの皆様、そして重症心身障害のあるお子さんとご家族の皆様が、日頃どれほどの想いを抱えていらっしゃるのか、その一端に触れ、深く考えさせられました。
総会での皆様の真摯なご様子を拝見する中で、重症心身障害のある方のご家族が直面されている様々な課題、そして「守る会」が今後どのように発展していくべきかについて、私なりにいくつかの気づきがありました。
微力ながら、部外者として感じたことを共有させていただければ幸いです。
迫り来る高齢化の波:会員構成について
総会で特に印象に残ったのは、参加者の皆様の年齢層でした。平均年齢が70歳を超えているように見受けられ、未来を担う若い世代のご夫婦の姿が少なかったことは、率直に申し上げて気がかりでした。
この現状は、福岡支部のみならず、多くの医療施設の家族会においても共通の課題として認識されているとのことです。役員の高齢化による後継者不足から、家族会の解散や会員数の減少といった厳しい状況も伺い、その背景にある構造的な問題について、改めて考えさせられました。
近年設立された新しい施設の中には、家族会が存在しないケースもあると聞きます。これは、社会の変化や子育て世代の価値観の多様化など、様々な要因が複雑に絡み合っているのかもしれません。
会員数減少の本質:新規会員の獲得に向けて
会員数減少の大きな要因の一つとして、新しい会員、特に若い世代のご家族の加入が進んでいない現状があるのではないでしょうか。
厚生労働省の統計によれば、重症心身障害児(者)の数は減少しておらず、むしろ医療の進歩により、より多くのお子さんが長く生きられるようになっています。そう考えると、「守る会」の活動を必要とされている潜在的なご家族は、決して少なくないはずです。
もちろん、会員の皆様がそれぞれのライフステージの変化によって退会されることは自然な流れかもしれません。しかし、現状では、その数を補うだけの新しい力が十分に加わっていないように見受けられました。この点について、何か打開策はないものかと感じました。
変化する時代:障害福祉サービスの現状と可能性
振り返れば、2003年の障害者支援費制度の導入以降、障害福祉サービスは段階的に拡充され、重症心身障害のある方とそのご家族を取り巻く環境も変化してきています。
行政や専門機関による相談支援や情報提供の機能が強化される中で、「守る会」のような当事者団体がこれまで担ってきた役割も、変化の時を迎えているのかもしれません。
令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定では、報酬体系や加算の見直し、医療連携の強化、入浴支援加算の新設など、より専門的・多様なニーズに応じた支援体制の強化が図られており、社会全体で支える意識が高まっていると感じます。
情報収集の変化:インターネットとSNSの浸透
情報収集の方法も、インターネットやSNSの普及により大きく変化しました。多くの方がスマートフォンを通じて情報を得られる現代において、かつてのように「守る会」からの情報提供が唯一の手段ではなくなってきています。
特定の障害や疾患に特化したオンラインコミュニティやSNSグループでは、より専門的でリアルタイムな情報交換や、共感し合える仲間との繋がりが生まれているようです。このような変化も、「守る会」のあり方を考える上で、考慮すべき点かもしれません。
変わりゆく家族の形と就労環境
核家族化の進行や、障害のあるお子さんを育てる母親の就労率の上昇といった社会の変化も、「守る会」の活動への参加に影響を与えているのではないでしょうか。
仕事と育児・介護の両立に奮闘されている親御さんにとって、定期的な会合への参加は、時間的な制約から難しい場合も多いと推察されます。
社会認識の進化:共に生きるという視点
障害者差別解消法の施行やインクルーシブ教育の推進など、障害に対する社会全体の認識も変化してきています。
若い世代の親御さんの中には、障害のあるお子さんを社会の中で共に育んでいくという考え方が、より強く根付いている方もいらっしゃるかもしれません。
「守る会」の認知度と価値提案:新たなアプローチを
新規会員が増えない背景には、若い世代の親御さんたちに「守る会」の存在や活動の意義が十分に伝わっていないという側面もあるのではないでしょうか。
診断直後のご家族への情報提供のあり方など、関係機関との連携についても、更なる検討の余地があるかもしれません。
また、「守る会」が現代の多様なニーズに応えられる価値を提供できているかという点についても、改めて見つめ直す必要があるのかもしれません。情報が溢れる現代において、対面での交流ならではの価値をどのように伝えていくかが重要になると感じました。
運営面について:持続可能な活動のために
会員数の減少は、会の運営にも影響を与えていることと思います。
会費納入のお願いなど、運営を維持するための活動も、人的コストなどを考慮すると、より効率的な方法を検討する必要があるかもしれません。
デジタル活用と新たな会員獲得戦略への期待
現代のテクノロジーを活用することは、運営コストの低減だけでなく、新しい会員、特に若い世代の親御さんたちとの接点を生み出す上で、非常に有効な手段となるのではないでしょうか。
LINEやウェブサイト、SNSなどを活用することで、より多くの方に「守る会」の活動を知っていただき、参加しやすい環境を整備できる可能性があります。
また、病院や療育センター、特別支援学校などとの連携を強化し、親御さんが最も情報を必要としているタイミングで「守る会」の存在を知っていただく機会を増やすことも重要だと感じました。
さらに、従来の対面での活動に加えて、オンラインでの情報交換会や、仕事を持つ親御さんでも参加しやすい時間帯での交流会など、多様な参加形態を提供することも、新たな会員層の開拓につながるかもしれません。
これからの「守る会」に求められるもの:未来への繋がり
「守る会」が、重症心身障害のあるお子さんとそのご家族にとって、かけがえのない支えとなるコミュニティであることは言うまでもありません。時代の変化に合わせて、その形や機能は変わっていくかもしれませんが、同じ想いを持つ家族同士の繋がりは、これからも必要とされ続けるでしょう。
重症心身障害のあるお子さんとご家族は、常にいらっしゃいます。大切なのは、その潜在的な会員の方々に、時代の変化に合わせた「守る会」の価値を感じていただき、共に行動していただけるような、新しいアプローチを模索し続けることではないでしょうか。
微力ながら、外部の人間として感じたことを述べさせていただきました。
MEGTARで何かお役にたつことができないかと深く考えさせられる会合でした。
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