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MEGTARはどうやって医療機器のアラームを検知しているのか ~高精度システムで安全性を確保する~

執筆者の写真: MICHIHIKO MIKAMIMICHIHIKO MIKAMI


アラーム発生

みなさん、こんにちは。MEGTAR開発担当の三上です。


医療現場において、医療機器のアラームは患者の安全を守るために極めて重要な役割を果たします。アラームは、機器の異常や患者の状態変化を迅速に医療従事者へ伝えるサインですが、環境音や他のアラーム音との干渉により、誤検知や見逃しが発生するリスクも存在します。


そこで今回は、MEGTARがどうやって医療機器のアラームを検知しているのか、そのしくみを解説します。


医療機器アラームの背景と必要性


医療機器のアラームは、国際規格IEC60601-1-8に準拠して設計され、明瞭で混同しにくい音響特性が求められています。


通常、アラーム音は4つ以上の主要な周波数ピークを持ち、さらに一定の最低音圧レベルが定められているため、雑音が多い現場でもアラームが確実に認識されるよう工夫されています。


ただし、現場では複数の医療機器が同時に稼働するケースもあり、複数のアラーム音が重なる場合でも、アラームを区別できることが必要です。


MEGTARのアラーム検知原理


MEGTARは、以下の4つのプロセスで動作します。


  1. 音声信号の取得

    • アラームが発生するスピーカーに近接してマイクを配置することで、アラーム音が直接かつ高音圧で取得されます。環境音も混在しますが、マイクがスピーカーに非常に近い位置に設置されているため、アラーム音が圧倒的に大きく収集され、信号対雑音比(SNR)が大幅に向上します。

  2. FFTによる周波数解析

    • 取得された音声信号は、一定周期ごとにFFT解析され、周波数スペクトルが生成されます。

  3. 2箇所の周波数ピークと音量の取得

    • FFT解析結果から、対象となる2つの周波数ピークとそれぞれの音圧レベルが抽出されます。

  4. アラーム検知の判定

    • あらかじめ設定された閾値と比較し、両方のピークが同時に閾値を超えた場合にのみ「アラーム発生」と判定します。この仕組みにより、異なる種類のアラームやその他の雑音による誤検知の可能性は極めて低くなっています。

 

MEGTARの工夫と実用性


MEGTARの最大の工夫は、アラーム音が発生するスピーカー近くにマイクを配置し、環境音と比較してアラーム音を圧倒的な音圧で取得する点です。


これにより、FFT解析時にアラーム特有の2つの周波数ピークが確実に抽出されます。また、各機器のアラーム音量が統一されれば、同一のアラームが同時に発生しても音圧差が明確となり、誤検知のリスクが大幅に低減されます。


さらに、MEGTARでは、2つのピークが同時に設定閾値を超えた場合にのみアラームと判定する仕組みを採用しているため、異なる種類のアラームが混在していても誤検知の可能性は極めて低いです。


また、FFT解析周期をアラーム1回分より長く設定しているため、アラームが2周期以上継続すれば、必ず全ての必要なピーク情報が解析期間に収まります。これにより、初回解析で一部ピークが欠落する場合でも、2周期以上続けば完全な検知が実現し、時間パターンの追加チェックは不要となります。


加えて、FFT解析はリアルタイム処理が可能なため、アラーム発生と同時に即座に検知結果を通知できます。


医療現場で迅速な対応が求められる中、この高速処理は大きなメリットです。


シンプルながら高精度なアルゴリズムとハードウェア構成により、実際の運用環境でもほぼ誤検知なくアラームを正確に検出できることが実証されています。


実際の運用例と検知結果


実際のテスト環境での実験結果では、アラーム発生時に指定された2つの周波数ピークと音圧レベルが確実に検出されることが確認されています。


アラームが鳴り出すと、環境音と比べてアラーム音の音圧が明瞭に上昇し、FFT解析により特定のピークが浮かび上がります。


複数のアラーム音が同時に発生する場合でも、各アラームの音量が統一されているため、音圧レベルの差が明確になり、誤検知が防がれています。


さらに、FFTの解析周期がアラーム1回分の周期より長く設定され、アラームが2周期以上継続すれば必ず全ピークが取得されるため、正確な検知が実現されています。


これらの結果から、MEGTARは医療機器のアラームをほぼ誤検知なく検出できる高精度なシステムであり、実際の医療現場での利用に十分耐えうるものと実証されています。


MEGTARのさらなる応用と課題対応


MEGTARは、医療機器のアラーム検知にとどまらず、工場の安全監視システムや交通システムにおける異常音検知など、特定の音響パターンを持つ信号の識別が必要な他分野への応用も期待できます。


FFT解析の周期設定や周波数・音圧レベルの閾値を適切に調整することで、さまざまな環境下においても高精度な検知が可能です。


一方、実際の医療現場では、部屋の音響特性やマイクの設置位置、反響などの影響も考慮する必要があります。こうした要因に対しては、アラーム音のテスト録音と解析機能を設け、環境に適した設定値を調整できるように工夫されています。


まとめ


医療機器のアラーム検知は、患者の安全確保と迅速な医療対応に不可欠な技術です。


MEGTARは、アラームが発生するスピーカー近くにマイクを配置し、指定周期ごとにFFT解析を実施して2つの主要な周波数ピークと音圧レベルを取得する手法を採用しています。これにより、アラーム音が統一された音量で取得され、環境音との差が明確になるため、複数のアラームが同時発生しても誤検知が大幅に低減されます。


さらに、2つのピークが同時に設定閾値を超えた場合のみアラームと判定する仕組みと、FFT解析の周期をアラーム1回分より長く設定することで、アラームが2周期以上継続すれば必ず必要なピーク情報が取得されます。そのため、時間パターンの一致チェックは不要で、シンプルな検知ロジックで高精度が実現されています。


MEGTARにより、医療現場でのアラームはほぼ誤検知なく正確に検出され、迅速な対応が可能となり、患者の安全性向上に大きく寄与できると考えています。今後はさらなるノイズ対策や解析アルゴリズムの高度化を進め、多様な現場環境での運用も目指します。


医療現場での迅速な対応と患者の安全性確保を一層強化するツールとして、MEGTARの採用をご検討いただければ幸いです。


ご質問があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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