
2024年11月15日(金)、16日(土)と、名古屋国際会議場で開催された第34回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会に参加しました。
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会は初参加で、発表者の皆さんの熱量に圧倒されました。
在宅医療を必要とする方が増えているなか、特に医療機器を使用される患者さんのケアについて、さまざまな課題や可能性に気付かされました。今回は、在宅医療における多職種連携の現状と、医療機器管理に関する課題について書いてみたいと思います。
在宅医療を支えるチーム医療
在宅医療では、多くの方々が患者さんの治療・ケアに関わっています。
主な関係者として、
医師(訪問診療医)
訪問看護師
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
訪問介護事業所のスタッフの方々
医療機器メーカーの担当者
が挙げられますし、そして、医療チームではないですが、
介護をされるご家族の方々
を含めると、多くの方々がチームとして活動することが求められているようです。
ただ、現状では各職種の役割分担が明確でないケースもあるようで、
特に医療機器の管理責任については、まだまだ検討の余地があるようでした。
在宅医療機器管理の現状と課題
1. 責任の所在について
現況をお聞きする限り、在宅での医療機器管理は主にメーカーやディーラーの保守担当者にお任せするケースが多いようです。保守契約によってメーカーやディーラーの保守担当者が管理を担当されるのはある意味当然かもしれませんが、すべてをお任せできるはずもなく、課題が多いようです。
例えば:
修理を伴わない内容であれば、訪問看護師が実質的な医療機器管理までを実施されているケースが少なくない
医師との連携がスムーズでない場合は、望ましい設定変更ができないこともある
急変時の機器のログデータの取り扱いについても、まだ統一的な方針がない
2. 臨床工学技士(CE)の関わり
在宅医療における医療機器の管理に関して、臨床工学技士の役割はとても重要だと考えられていますが、いくつかの課題もあるようです。
全国の臨床工学技士約2万人のうち、在宅医療に携わっている方は約500名程度とのことで、求められているニーズから考えると圧倒的に少ない
臨床工学技士が在職していない訪問クリニックがほとんど
保険点数が設定されていないため、臨床工学技士の訪問点検の実施が難しい
3. 情報共有について
病院勤務の臨床工学技士が在宅医療に関与している場合でも、院外と多職種間で情報共有する場合に、いくつかの課題があるようです。
退院前のカンファレンスに臨床工学技士が同席していない場合が多く、機器情報が十分に共有されていないケースがある
タイムリーな多職種間のコミュニケーションが電話やFax中心では難しい
災害時の連携体制については、さらなる検討が必要
これからの可能性
1. 臨床工学技士の活躍の場
臨床工学技士には、以下のような役割が期待されているようです。
在宅における複数メーカーの医療機器の総合的なメンテナンス
患者さんの環境に合わせたフィッティング
ログデータを活用した治療の調整
災害時のサポート
2. 地域でのつながり
医療機器に関する地域の方々との勉強会開催
臨床工学技士を交えた多職種間での情報共有の工夫
災害時に備えた準備
3. 新しい技術の活用
SpO2の遠隔モニタリング
身体活動量の測定
ログデータを活用した治療の改善
おわりに
在宅医療の質を高めていくために、多職種連携が今まで以上に大切になってきそうです。特に臨床工学技士の役割をより明確にし、適切な評価の仕組みを作っていくことが重要かもしれません。
情報共有の仕組みづくりや災害時の備えなど、これから考えていくべき課題もたくさんありますが、一つひとつ丁寧に取り組んでいくことで、より安心で効果的な在宅医療を提供できる可能性が広がっていくのではないでしょうか。
医療機器を使用される在宅患者さんが増えていくなか、「誰のために」「何を目指して」医療を提供していくのかを常に考えながら、患者さんの生活の質を第一に考えた体制作りを、みんなで進めていけたらいいですね。
医療機器監視システムを開発している当社も、できることを精一杯考え続け、体制作りの一員となれるよう努力していきたいと思います。
つれづれと書いてしまいましたが、著者は医療従事者ではないため、理解が不十分だったり、記載が間違っている部分もあるかもしれません。もしお気づきの点があれば、ぜひコメントを残して言ってください。
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