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システムのスムーズな導入のために必要なこと - 臨床工学技士が医療機器監視システムを選定・導入する場合の実践ガイド

執筆者の写真: MEGTAR_PRMEGTAR_PR


医療現場で日々医療機器の管理や安全確保に努めておられる皆さまにとって、システム導入は業務効率の向上や安全性アップに大きく貢献しますが、一方で、不慣れなITシステムの導入には不安を感じることもあるでしょう。


今回は、医療機器監視システムを例に、導入をスムーズに進めるための具体的な手順や注意点を、現場でプロジェクトをリードされる皆さまの視点から解説いたします。


この情報は、私たちベンダーがシステム開発を通じて得た知見をもとにまとめたものであり、医療機器監視システムに限らず、さまざまなシステム導入に応用できる内容となっています。


皆さまの現場でのシステム導入成功の一助となれば幸いです。

 

 

1. 導入前の準備:目的と現状の把握

 

① 導入目的の明確化


まず、システム導入の最終目的を明確にしましょう。医療機器監視システムの場合、以下のような目的が考えられます。

 

  • リアルタイム監視と迅速な障害対応

    医療機器の状態を常時把握し、異常が発生した際に速やかに通知や対応ができる体制を整える。

  • 定期点検や保守業務の効率化

    過去のデータやログをもとに、保守計画や点検業務の効率化を図る。

  • 安全性・信頼性の向上

    医療現場のリスクを最小限に抑え、患者の安全を確保するためのシステム運用を実現する。


② 現状分析と関係者の把握


現場での実際の運用状況、課題、既存の管理フローを詳細に整理します。臨床工学技士の皆さまの豊富な現場経験を活かし、以下の点を確認するようにしてください。


  • 現在どのような情報が不足しているのか

  • 日常業務でのトラブルや改善したいポイント

  • システム導入後に業務フローがどのように変化するのか


また、医師、看護師、IT担当者など、システム導入に関わる各部門の担当者と連携し、プロジェクトチームを形成することが本当に大切です。

 

 

2. システム選定のポイント


① 情報収集の工夫


医療機器監視システムは市場規模が小さいため、情報が非常に限られています。以下の方法で客観的な情報収集を行いましょう。

 

  • ベンダーとの技術ディスカッション

    営業担当だけでなく、実際の技術担当者と直接話し、システムの詳細な仕様や運用事例、障害発生時の対応方法について具体的に質問する。

  • デモ環境やトライアルの活用

    ベンダーが提供するデモ版やトライアル環境があれば、実際にシステムに触れて操作性や応答速度、現場のニーズへの適合性を体験する。

  • 内部でのPoC(概念実証)の実施

    小規模な環境で実際の運用シナリオを模したテストを行い、システムが自社の業務フローにどうフィットするかを確認する。


② ギャップ分析の実施


自社の業務要件と、候補となるシステムが提供する機能の間にどのようなギャップがあるかを整理します。

 

具体的には、機能比較表を作成し、必須機能(例:リアルタイム監視、アラート通知、ログ管理)と追加が望ましい機能(例:過去データの分析、レポート自動生成)を明確に区分します。

 

カスタマイズが必要な部分があれば、そのリスクや費用、将来のアップデートへの影響も合わせて評価することが重要です。

 

 

3. システム導入のプロセスと手順


① 高レベル仕様書の作成


システム選定前に、全体の業務フローや必須要件を整理した高レベル仕様書を作成します。これにより、システム導入の目的や期待する成果を関係者全員で共有し、ベンダーとの協議の土台となります。


② 詳細仕様書の策定


システム選定後、実際に導入するパッケージの標準機能と照らし合わせ、カスタマイズが必要な箇所のみ詳細に記述した仕様書に落とし込みます。このフェーズでは、現場の意見を取り入れながら、細部の確認と調整を行い、導入後のトラブルを未然に防ぐ準備が求められます。


③ パイロット運用とフィードバック


本格導入前に、限られた現場や一部の機器でパイロット運用を実施します。実際の運用条件下でシステムの動作確認や不具合の洗い出しを行い、その結果をもとに改善策を講じることで、全体導入時のリスクを低減できます。

 

 

4. 運用開始後のフォローアップ


① ユーザートレーニングの徹底


システム導入後、現場スタッフが安心して操作できるよう、実践的な操作研修を実施してください。分かりやすいマニュアルやFAQ、ヘルプデスク体制を整えることで、疑問やトラブルへの迅速な対応が可能になります。


② 定期的な運用レビューと改善


システム運用開始後も、定期的に運用状況をレビューし、現場からのフィードバックを収集します。その結果をもとに、システムの微調整やアップデート、必要な機能の追加を検討し、常に最適な運用状態を維持する仕組みを構築しましょう。


③ サポート体制の確立


万が一の障害やトラブル発生時に備え、迅速に対応できるサポート体制を確立しておくことも重要です。ベンダーとの連携、社内のIT担当者との協力体制を明確にし、運用中のリスクを最小限に抑えられるよう努めてください。

 

 

5. プロジェクト推進のためのコミュニケーション


医療機器監視システムの導入は、医療現場とITシステムの知見が融合するプロジェクトです。


臨床工学技士の皆さまが中心となり、現場のニーズを正確に把握し、関係部署と連携しながら進めることが成功の鍵となります。


また、システム導入に際しては、定期的なミーティングやワーキングを開催し、現場の疑問点や改善要望を共有することで、より現実的で効果的な運用体制を作り上げることができます。

 

 

まとめ


医療機器監視システムの導入は、単に新しいシステムを導入するだけでなく、現場の業務効率向上と安全性の確保を目指す重要な取り組みです。


本記事でご紹介した、導入前の準備、システム選定のポイント、具体的な導入プロセス、そして運用開始後のフォローアップは、どのような医療現場においても適用可能な基本的なステップです。


限られた情報の中でも、現場の実情をしっかり把握し、パイロット運用やフィードバックを重ねることで、スムーズかつ確実なシステム導入を実現できるはずです。


私たち開発ベンダーは、こうしたプロジェクトの成功に向けた知見や情報を提供することで、皆さまの現場がより安全で効率的な運用体制を構築できるようサポートしてまいります。


今後も、医療現場の声を大切にしながら、実践的な情報発信を続けていきますので、何かご不明点やご相談があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。


皆さまの現場で最適な医療機器監視システムの導入が実現されることを願っています。

 
 
 

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